最新ニュー

円形脱毛症は誰にでもおきる?円形脱毛症の発症原因にせまる。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

 額の生え際が後退し頭頂部が薄くなって来たなど、薄毛の悩みを抱える男性は少なくありません。男性型脱毛症はAGAと呼ばれますが、男性だけでなく女性にも発症しますし、円形脱毛症は性別や年齢に関係なく発症します。薄毛の悩みは男女に限らず子供さんでも抱える問題です。ここでは、そんな皆様の悩みにお答えします。

悩みを抱える人の割合

 日本では成人男性の3~4人に1人がAGAの悩みを抱えています。また、脱毛症は子どもや女性でも発症するので、男性だけの悩みでは決してないのです。

性別では

 AGAの主な症状は「生え際が後退」「頭頂部の薄毛」ですが、この症状の悩みを抱えている人は決して少なくないのです。20~69歳の日本人男性8,100人対象の調査結果を日本全人口で推計すると、「薄毛を自覚している男性は約1260万人」、「薄毛を気にしている男性は約800万人」と、報告されています。薄毛の悩みを抱えた男性は意外と多いですね。アメリカで調べた女性の脱毛症の割合では、約20%に薄毛が認められました。

年齢では

 AGAは思春期以降で発症するので、子どもにはありませんが、「円形脱毛症」は性別や年齢に関係ありません。原因が特定されていないので、まだ治療法が確立されておらず、子どもが脱毛症を発症して、長期治療を必要とする場合があります。生まれつき髪の毛の少ない子の場合は、「先天性無毛症」「先天性乏毛症」と呼ばれ、専門的診断や治療が必要な場合もあるので、小児専門の医療機関を受診してください。

円形脱毛症の発症の要因は?

 円形脱毛症の原因は、完全には解明されていないので不明な点も多いのですが、ストレスが原因で誘発される「自己免疫応答」が主原因と云われています。「自己免疫応答」は自分の体を守るための「免疫」の仕組みが異常を起こし、間違って自分自身を攻撃する状態を云います。

毛根に対する自己免疫応答とは?

髪の毛の根元の毛根には、髪の毛の成長に大切な「毛乳頭細胞」や「毛母細胞」などの細胞が複数ある「毛包」があります。この「毛包」の細胞に対して自己免疫応答が次のような過程で引き起こされると云われています。
① 免疫細胞が毛根(毛包)の細胞を異物と間違って認識して、攻撃します。(自己免疫応答)
② 免疫細胞から出されるいろいろな攻撃的な炎症性の物質などの影響で、毛根周辺に炎症が起きます。
③ 炎症によって毛根が損傷して、髪の毛が抜けてしまいます。
④ 免疫細胞による毛根への攻撃が長く続くと、成長に重要な細胞のダメージが大きくなって、脱毛だけに留まらず、二度と生えてこなくなってしまうこともあるのです。
これが、円形脱毛症の主原因と考えられる「自己免疫応答」のメカニズムですが、それ以外の原因については、まだ解明されていないのが現状です。

ストレスは自己免疫応答による円形脱毛症の引き金?

 ストレスが自己免疫応答を誘発する円形脱毛症の要因となると考えられています。では、ストレスとの関連性について、ご紹介しましょう。

二通りのストレス

 ストレスには、「精神的ストレス」と「身体的ストレス」の二つに大別され、どちらも、円形脱毛症に関連するとされています。人間関係や家庭・仕事の問題などによって精神的に負担がかかる精神的ストレス。一般的に「ストレス」と云えば、この精神的ストレスを云うことが多いようですが、疲労や感染症、暑さ寒さなど身体面に負担がかかる身体的ストレスもあります。

自己免疫の引き金の可能性

 ストレスと自己免疫応答の関連性については、まだ医学的根拠は示されていませんが、引き起こす可能性があるとの論文は報告されています。

ストレスが円形脱毛症を引き起こす過程

 ストレスは「自律神経」と「内分泌」の働きに影響を及ぼし、どちらも円形脱毛症につながると考えられています。

【自律神経のバランスの崩れ】
自律神経は、活発に行動している時に「交感神経」が働き、リラックスしている時は「副交感神経」が働きます。お互いに反対の働きをするこの2つの神経がバランスを保つことで、いろいろな体の機能が調整されます。ところが、様々なストレスのせいで自律神経のバランスが崩れると、免疫機能のバランスも崩れてしまいます。その時に自己免疫応答が誘発されて、円形脱毛症が発症すると云われています。

【内分泌のバランスの崩れ】
血液の流れに乗ってモルモンが体中を巡ることを内分泌と云います。ストレスのせいで、脳から副腎を刺激するホルモンが分泌されると、「コルチゾール」と云うホルモンの分泌が盛んになります。コルチゾールは免疫機能を活性化させて、ストレス状態による悪影響を防ごうとするのですが、ストレス状態が長く続くとコルチゾールの過剰分泌のせいで、免疫機能のバランスが崩れてしまうのです。そこで自己免疫応答が誘発されて円形脱毛症になると考えられています。

円形脱毛症発症の3つの要因

 先に紹介しましたように、円形脱毛症の原因の可能性と考えられているのは、「自己免疫応答」だけで、その他の原因はまだ解明されていません。ただ、発症に関与している「要因」は明らかになってきました。「要因」は「原因」と異なって、円形脱毛症を引き起こすわけそのものではなく、発症に影響を与える要素と云われ、以下の3つが挙げられています。

円形脱毛症発症要因1-自己免疫疾患

 円形脱毛症を発症した方で併発の多い自己免疫性疾患には、「尋常性白斑」「関節リウマチ」「慢性甲状腺炎」「全身性エリテマトーデス」「重症筋無力症」の5つがあります。診療ガイドラインによると、「円形脱毛症を発症する人は、髪の毛とは直接関係しない自己免疫疾患も発症している人が比較的多い」ことが記載されています。皮膚科では始めて円形脱毛症を発症した場合には、以下の5つの疾患が合併していないかを採血検査することが多いです。

【尋常性白斑】
年齢には関係せず突然発症する「尋常性白斑」は、皮膚の色素を作る細胞に対する自己免疫疾患で、全身至る所の皮膚の色が無くなって白くまだら状になってしまう病気です。症状が全身に現れるものと、左右どちらかだけに症状が現れる2つのタイプがあります。診療ガイドラインによると、円形脱毛症の4%の方が尋常性白斑を併発していると記載されています。

【関節リウマチ】
70万人以上の方が発症し、男女比では1:3の割合で女性の方が多いのが、関節やその周辺の細胞に対する自己免疫疾患の「関節リウマチ」です。関節の「腫れや痛み」「変形」「こわばり」が主な症状です。関節の痛みは手指に左右対称で起きることが多く、こわばりは朝起きた時に、手足や体が動き難くなります。

【慢性甲状腺炎(橋本病)】
慢性的な甲状腺の炎症のせいで、甲状腺が腫れたり、機能に異常を来す病気で、50歳以上で1~2割の方が発症する病気です。九州大学の橋本策氏が戦前、研究発表したものが死後認められて、橋本病と呼ばれています。診療ガイドラインによると、円形脱毛症の8%の方が慢性甲状腺炎を併発していると記載されています。

【全身性エリテマトーデス(SLE)】
「全身性症状」としてはリンパ節の腫れや食欲不振、発熱、全身のだるさなど、「局所性症状」としては関節、皮膚、心臓、腎臓、肺、消化器など体の一部に炎症を起こします。皮膚症状の1つとして、円形脱毛症も挙げられています。6~10万人程度が発症し、患者さんの約9割は20~40代の子供の産める女性に発症することが多いようです。

【重症筋無力症】
全身の筋力低下して疲れ易くなり、瞼が下がったり、目の動きが悪くなって、二重に物が見えたりなどします。末梢神経と筋肉を繋ぐ部分で、自己免疫応答によって筋肉側の大切なたんぱく質が破壊される病気です。日本では1万5千人程の患者さんがいると推定され、男女比率では1:1.7と女性の方が多くなっています。

円形脱毛症発症要因2-アトピー素因

 円形脱毛症の合併症としては、自己免疫疾患以外に「アトピー性疾患」も挙げられます。

【アトピーになり易い体質】
アトピー性皮膚炎診療ガイドラインによると、アトピー素因については、「本人、あるいは血のつながった家族が気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちの1つ以上にかかっている」または「アレルギーを引き起こす免疫物質のIgE抗体が産生されやすい体の状態である」ことと定義しています。このアトピー素因があるなしによって、円形脱毛症の発症や治療効果に変わりが出てくることもあります。

【アレルギーの1種】
アレルギーはある特定の異物に対し、過剰に免疫応答が反応して引き起こされる体の異常のことを云い、アトピー性疾患は4つのアレルギータイプの1型と4型に当たります。アトピー素因の話の中の「IgE抗体」がこの1型アレルギーに深い関連性があります。4型アレルギーは、免疫細胞のなかの「Tリンパ球」が過剰反応したもので、円形脱毛症の頭皮にTリンパ球が多く集まってきます。

【アトピー素因との関連性】
円形脱毛症の診療ガイドラインによると、200人の円形脱毛症の方 を調査した結果、本人や家族にアトピー素因があった方は108人(54%)、本人限定で82人(41%)、アトピー性皮膚炎だった方は46人(23%)と記されています。このように、互いに深い関連性があるように思われます。

円形脱毛症発症要因3-遺伝

 円形脱毛症は血のつながった家族に発症するケースが多く、親子など関係が近いほど発症率が高くなっているので、遺伝の関与が考えられますが、必ず遺伝すると云うものではありません。

【遺伝との関連性】
中国での大規模調査では、円形脱毛症の方の8.4%で家族での発症が見られ、近い関係程発症率が高かったと云う結果があります。欧米においても、一親等(父、母、子どもなど)の間柄の場合、一般に比べて約10倍の発症リスクがあるとされています。

【双子での比較結果】
双子には「一卵性」と「二卵性」がありますが、一卵性では遺伝子、性別、血液型が同じですが、二卵性では同一とは限りません。そこで、これを比較して遺伝との関連性を調べてみました。その結果、円形脱毛症の発症率が一卵性では55%、二卵性では0%と、少なからず遺伝が関連していると考えられます。

いかがでしたか、
円形脱毛症に悩むあなたにとって、その要因は様々なのです。
1人で悩まず、まずは専門医療機関に相談してみましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。